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ケン・フォレット「大聖堂-果てしなき世界」の備忘録

「大聖堂 果てしなき世界」(著者:ケン・フォレット)が出版されたのは、2009年(海外での発表は2007年)ですが、僕が読んだ時期は2016年の1か月半くらいなので、出版されてからずいぶんと時間が過ぎてしまっています(ちなみに、今回の記事の内容は他のサイトにて2016年7月に公開したものを情報が古くなったため一部修正して、こちらにて公開しています)。そして、このブログを書いている2019年というタイムスパンで見ると10年前に出版されたものとも言えます。ただ、この小説は歴史小説なので、読んでいて古く感じることは特にありません。

「大聖堂 果てしなき世界」は、1989年に発表された「大聖堂」の続編です。前作の「大聖堂」についてはずいぶん前に読了して内容もだいぶ忘れていましたが、その記憶とは関係なしにこの続編「大聖堂 果てしなき世界」は読むことができました。
(注:ウィキペディアに「大聖堂」のあらすじが書かれたページを見つけたのでリンクしておきます。→『https://ja.wikipedia.org/wiki/大聖堂_(ケン・フォレットの小説)

前作と今回の続編の共通することといえば、キングズブリッジというイングランドの架空の町、前作の登場人物である建築職人のトム・ビルダー、ジャック・ビルダーの末裔たちの話ということくらいです。時代も1300年前半から1360年代くらいを想定してします。普段僕は歴史小説のジャンルはほとんど読まないのですが、これだけは別格でした。700年ほど前の話にもかかわらず現代の僕たちと同じような生活がかつてあったことに驚きつつ、日本の時代劇のような美化された世界はいっさいないリアルな描写の連続で、複数の登場人物による果てしなき群像劇が繰り広げられ、時間を忘れてよみふけってしまいます。

ただ僕がこの小説をお気に入りにできたのは、なんといっても建築職人のマーティンがいたからだと思います。彼を中心にある意味建築的な視点からキングズブリッジという町の政治、経済、宗教、戦争、性風俗などとの距離感をはかりながら読み進めることができました。

またこの小説はそこだけではなく、カリスやグヴェンダなどの女性陣がいきいきと描かれ権力や宗教にもからんでくるという点でもおもしろいと思います。そういう意味では、イギリスで女性の首相がひさびさに誕生しましたが、その出来事ともどこかリンクしている気がして、現代との接点におもいをはせることもできる小説です。

とにかく、巻末に児玉清さんによる解説でも”一度飛びこんだら、もう絶対に抜けられない面白地獄”と書いているように、量は多いですが、読み始めたらあっというまにページが進むと思います。

そんなわけで、最近はAIやら自動運転やらとハイテク技術の話題が飛び交う中、建築にもこんなアナログの時代の物語があったことを(特に若い人には)忘れてほしくないと思い、このブログを読みにきてくれた方なら一度はよんでみてほしい小説だということで、紹介してみることにしました。

なお、「大聖堂 果てしなき世界」についても、ネタバレがたくさん載っていますが、ウィキペディアにあらすじが掲載されています。長編に慣れていない人(若い子は特に)は、このあらすじを読んでから本にチャレンジしてみるのもいいかもしれませんし、下記にリンクしている映像作品(「大聖堂」、および続編で今回取り上げた「大聖堂 果てしなき世界」については、海外でテレビドラマとして映像化もされています。ただ「大聖堂 果てしなき世界」については、日本語訳がついたDVDはでていないようですね。(泣))を観てからというのもありかもしれませんね。

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※以上が文庫本です。上・中・下それぞれがけっこう厚いです。

投稿者:

くふらて

archiclue.の運営人です。

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