日本の国宝や重要文化財の屋根を美しく彩る「檜皮葺(ひわだぶき)」。2020年、この技法を含む「伝統建築工匠の技」はユネスコ無形文化遺産に登録されました。中でも、材料となる皮を山から調達する「檜皮採取(ひわださいしゅ)」は、木を枯らさず再生を促すという、世界でも類を見ない持続可能な伝統技術として高く評価されています。
今回ご紹介するのは、竹中大工道具館で開催された講演会「山と人をつなぐ仕事─原皮師が語る、檜皮採取の世界」の記録動画です。講師は、選定保存技術保持者である原皮師(もとかわし)の大野浩二氏。動画では、1300年以上の歴史を持つ日本固有の技術が、今もなお驚くほどシンプルな手道具と、高度な身体知覚によって受け継がれている様子が詳しく解説されています。
竹中大工道具館 企画展講演会「山と人をつなぐ仕事─原皮師が語る、檜皮採取の世界/Connecting Mountains and People: The World of Hinoki(youtube/竹中大工道具館)
特筆すべきは、原皮師の仕事が「木を殺さず、生かし続ける」サイクルに基づいている点です。樹齢100年を超えるヒノキから、成長に影響のない外樹皮のみを剥ぎ取る技は、一度採取しても約10年で再生を可能にします。動画内では、独自の道具「ブリ縄」を使いこなし、高所で作業する臨場感あふれる映像も見ることができます。
私たちが向き合う現代の建築においても、こうした「素材の源流」を知ることは、設計や施工の思想を深める大きなヒントになるはずです。世界が認めた職人の眼差しを、ぜひこの動画から感じ取ってみてください。
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